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猩猩に叩かれると、どうして元気になれるのか... [長草のこと]


科学的意識を持たない昔の人々が、病気平癒の助けを求めたのは神仏であり、また、疱瘡を引き起こすと考えられていた「疱瘡神」が、赤い色を嫌う事から、「疱瘡神除け」として赤いものを身につけたりもした。赤い張子の犬人形や赤で描かれた鍾馗の絵などとともに、赤い牛の歯なども、お守りにしていたという。

赤...といって、長草天神社関係で思い浮かぶのは、猩猩(しょうじょう)である。猩猩は、長草に限らず、名古屋市緑区から知多半島にかけて、祭りで登場する赤い顔をした物怪(山車人形として登場もする)で、それこそ映画の「もののけ姫」や「妖怪大戦争(近藤正臣が猩猩役であったと思う)」に登場するぐらい、日本ではポピュラーな存在。もともと中国の「山海経」に登場する物怪なのだが、日本の能(のう)で取り上げられる頃になると洗練され妖精のような感じでもある。猩猩に関しては、別の機会に記事にするとして....。

猩猩の血は、最も赤いとされ、これで染めると色あせないとされていた。そんなことから、鮮やかな赤を持つものに「猩猩○○」と名付けている、例えば「猩猩草」や「猩猩とんぼ」なんかがそれに当てはまる。(「ショウジョウバエ」は別の理由である。)

だから、猩猩もはじめは、別に赤い顔ではなかったのだろうが...赤い方が分かりやすいし...。

だから、お祭りで猩猩が子供を叩いたり撫でたりするのは、「子供の健康を守りたい」「病気にかからず大きくしたい」という大人達の願いがこもっているわけだ。

わらべ歌の「とおりゃんせ」の中にも、子供の7歳のお祝いのために、天神様にお札を収めにいく...と歌われているが、子供をこの年にまで育て上げるのが、如何に大変であったか、うかがい知る事ができる。「七五三参り」も同じ事で、子供を丈夫に育てるために、神仏の力を借りたかった親心を汲み取ることができる。

つまり...天神さんは、子供の病気を払い、健康に育ててくれることを願う神様だったということだ。

最近は、「学問の神様」として、親子連れ立って訪れる天神さん。医学・科学技術の進歩や教育意識の向上という文明の発展を背景に、訪れる理由は代わってきたが、その時代時代で、家族にとっての最も関心のある出来事のために、天神さんを訪れるという行為は変っていない。それだけ、天神さんは、人々の心に深く根ざした存在だということだろう。

天神さんと牛と猩猩に見守られている長草の子供達は、元気に育たないはずがない。

疱瘡神—江時代の病いをめぐる民間信仰の研究

疱瘡神—江時代の病いをめぐる民間信仰の研究

  • 作者: ハルトムート・オ ローテルムンド
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/03
  • メディア: 単行本

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